創業計画書を作成する際、設備資金及び運転資金がいくらかかるのかを把握していなければなりません。
設備資金については、見積もりにより明確にすることができますが、運転資金の場合は、様々な経費を含むため算出が難しいと、当事務所でもよく相談を受けています。
このようなときに便利なのが、「経常運転資金」です。
経常運転資金とは、通常の営業で必要となる運転資金のことをいいます。
経常運転資金は
「売掛金」+「在庫」−「買掛金」
により算出することが可能となります。
上記の公式で、なぜ、必要な運転資金が算出できるかということについて見ていきましょう。
前半の「売掛金」+「在庫」の部分ですが、「売掛金・在庫」の2つについては、将来的には売り上げとなるものの、今の時点では現金化できないものとなります。
したがって、この2つを合計した金額は、すぐに現金化されない以上、運転資金として用意しておかなければならないものということになります。
詳しく説明しますと、
売掛金とは、商品やサービスを販売してその代金の支払いを受ける権利のことをいいますが、実際には約束した期限がくるまで現金が入金されることはありません。
在庫についても、商品としては存在するものの、販売がされるまで倉庫などに置かれているものであるため、これについても販売し、代金が回収されるまでは現金化はされません。
一方で、後半部分の 「買掛金」ですが、「買掛金」は約束により支払日が到来するまでは支払わなくてもよいわけですので、その分の現金は会社に残ることになります。
したがって、運転資金として用意しておかなくても良いものということになります。
以上のことから、「売掛金」+「在庫」から、「買掛金」を引けば、経常運転資金つまり、常に会社に必要な運転資金がどの程度なのかを知ることができるわけです。
具体例をあげます。
甲会社の売掛金が500万円、在庫が250万円、そして買掛金が500万円あるとします。
この場合は
「売掛金500万円+在庫が250万円?買掛金500万円」=250万円
となることから、この会社は事業していくうえで250万円が運転資金として必要ということになります。
融資の際、運転資金の妥当性は、この経常運転資金を計算し、申込額が適切かどうか審査がされます。
融資の申し込みをする場合には、「3ケ月分の運転資金がほしい」という大雑把な説明ではなく、「経常運転資金を計算するとこの金額」という形で説明した方が、金融機関の理解も得られることでしょう。
あなたは、ある機械の販売をするために700万円の現金の中から400万円を使って機械を4台(一台:100万円)仕入れたとします。
このときの、経常運転資金はいくらになりますか?
解説
まず、仕分けをすると、
現 金 700万円 → 300万円
機械(在庫) 400万円(4台×100万円)
この時点での運転資金を計算式に当てはめてみると、
「売掛金」(0)+「在庫」(400)?「買掛金」(0)=400
つまり、運転資金は在庫の「400万円」だけということになります。
事例1のあと、機械の2台が売れました。代金の支払いは来月の給与で行うということになりました。
このときの経常運転資金はいくらになりますか?
解説
まずは、仕分けをしていきます。
代金の支払いは来月の給与で行うので、売上200万円は売掛金ということになります。
現金 300万円→300万円
機械(在庫) 400万円→200万円(残り2台)
売掛金 200万円
経常運転資金の計算式に当てはめてみると
「売掛金」(200)+「在庫」(200)?「買掛金」(0)=400
つまり、運転資金は在庫と売掛金を合計した「400万円」ということになります。
事例2のあと、売れた分の機械につき1台(100万円)の在庫の補充をしました。
しかし、手元の現金が不安なため、支払いは来月末の支払いにしてもらいました。
この場合の、経常運転資金はいくらになりますか?
解説
まずは、仕分けをしていきます。
手元の現金が不安なため、支払いは来月末の支払いにしてもらったので、代金の支払いは買掛金となります。
現金 300万円→300万円
機械(在庫) 200万円→300万円(現在3台)
売掛金 200万円→200万円
買掛金 100万円
経常運転資金の計算式に当てはめてみると
「売掛金」(200)+「在庫」(300)?「買掛金」(100)=400
つまり、経常運転資金は、売掛金と在庫の合計から買掛金を引いた「400万円」ということになります。
いかがでしたでしょうか?
この記事で、経常運転資金の計算式のイメージをつかんでいただければ幸いです。