創業計画書の「事業の見通し」は、財務諸表でいうところの損益計算書にあたる部分であり、予想売上高とそれにかかる経費及び最終的な利益を記入します。
金融機関に対する返済は、最終的な利益(もし、減価償却費があればこれとの合計)の部分から行われるので、利益額がマイナスとなる場合には返済ができなくなることを意味します。
個人事業主の場合には、生活費も考えなければならないので、1か月あたり、最低でも25万円プラス返済額分の利益が確保されていることが必要です。
もし、この程度の利益が確保できていない計画では、融資は困難となります。
実際には、開業当初は赤字になるのが通例ですが、事業計画上は、極力黒字になるような計画を立てるようにしてください。
業種 | 1か月当たりの売上高の予測方法 |
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飲食業 | ・客単価×座席数×一日当たりの回転数×営業日数 ・ランチとディナー、平日と休日で分ける ・テーブル席については、満席率を考慮 |
小売業 | ・商品平均単価×一日当たりの客数×営業日数 ・客数にリピート率をかける方法もあり得る ・商品群ごとに計算すると良い |
美容業 | ・メニュー毎の料金×一日当たりの客数×営業日数 ・美容椅子の台数と回転数で算出する方法もあり得る ・指名がある場合は、美容師の固定客数を根拠とする方法もあり得る |
学習塾 | ・コース別料金×生徒数 ・入会金×新規生徒数 ・夏期講習、冬期講習、受験直前指導等を別途考慮 |
エステサロン | ・メニュー単価×一日当たりの客数×営業日数 ・回数券を発行する場合は、販売枚数×金額 |
製造業 | ・平均製品価格×1か月当たりの販売数 ・取引先ごとに単価を設定している場合は、それを考慮する。 |
システム開発 | ・平均開発単価×1か月当たりの顧客数 ・開発に長期を要する場合、回収高の月平均を計算する ・更新作業など毎月の保守料金を見込める場合はこれを考慮する |
コンサルタント | ・1か月当たりの報酬×クライアント数 ・顧問契約と単発契約に分ける ・講師や執筆の報酬が見込める場合は、これを考慮する |
店舗、設備、人員、立地条件、時間等に売り上げを妨げる制約条件がないかを十分に検討しなければなりません。
学習塾のケース
机の数、講師の数を考慮せず、見込み生徒数を考えている
飲食店
ランチの時間帯に5回転させる⇒ランチのピークは普通2時間程度なので、5回転はおよそあり得ない。
日本政策金融公庫のホームページで公表している統計データに「小企業の経営指標」というものがあります。
そして、融資担当官は、これに掲載されているデータを参照します。
したがって、このデータと齟齬する売上予測を立てた場合は、その根拠について十分な説明が必要となります。
売上原価とは、原材料や商品仕入れにかかる費用のことをいいます。
売上原価についても、融資担当官は、「小企業の経営指標」を参考にします。
そこで掲載されているデータと乖離する場合は、その根拠の説明が求められます。
パートやアルバイト等の時給、労働時間、出勤日数を掛け合わせたものを人数分計算して算出します。
パートが複数いる場合は、ローテーション表なども提出してください。
賃貸借契約書に記載されている金額をそのまま記載します。
借入予定額に、その融資毎に定められた利率をかけたものを12で割って、1か月あたりの支払額を算出します。
電気、ガス、水道、電話料金の他、リース代があればその合計の支払い予想額を記載します。
これらの金額については、合計額の他に、各項目についての内訳を欄外などに記載するとさらに分かりやすいものとなります。
経費は多めに計上すること
例)人件費
法定福利費や残業代を考慮して、月給の115%を上乗せすること
売上高から売上原価と経費を引いた金額が利益になります。
日本政策金融公庫の記載例では、減価償却費が考慮されていませんが、高額な設備がある場合は、必ず、減価償却費についても計算して計画に反映させるようにしてください。
売上高に対する利益率をチェックしてみてください。
これが20%を超える場合、経費の見落としがないか確認が必要です。
なぜなら、売上高に対する利益の割合が20%を超える事業というのは極めて珍しいからです。
税金等も考慮すれば、利益×0.6で算出した額が、個人事業主の給与と借入金の返済額以上の額であることが望ましいといえます。