必要な資金と調達方法の表は、
・左側・・・そのお金を事業の何に使うのか(設備や運転資金の項目と金額)
・右側・・・事業に必要なお金をどうやって集めるのか(自己資金額と借入額)
という内容から構成されています。
ただし、この際に右側(調達の方法)と左側(必要な資金欄)の合計金額は必ず一致させるようにします。
設備資金の欄には、創業する事業で購入を予定している「設備」の名称と金額を記入します。
ここでいう「設備」とは、単に「物品的なもの全てをすべてを指すわけではなく、そのうちの中で減価償却できる資産のことをいいます。
内装費や店舗の賃貸をした場合の保証金、敷金などは「設備」扱いされるので、これらがある場合には設備の項目に記載してください。
融資担当官は、事業を始める際に、投資する必要性が切実である設備であるかを審査します。
例えば、半年先に買う者は対象となりません。
融資担当官の心理としては、起業時の設備投資はできるだけ抑えるべきと考えているのです。
そのため、
・設備投資したことのリターンが分かるようにする
・一般の人が知らない機械については、用途や効能を明らかにする
といった工夫が必要です。
設備資金について融資を受ける場合、必ずその設備に関する「見積書」が必要となるのでこれを用意し、これに記載された金額をそのまま記載してください。
もし、見積もりが取りにくいもの(例えば、少額の器具類や備品)の場合、金額が記入されたカタログやインターネットでの販売価格をプリントアウトしたものでも構いません。
運転資金とは、事業に使用する商品の仕入、経費の支払い、買掛金、支払手形の決済など通常の業務で必要となる資金のことをいいます。
運転資金の例
・仕入れ
・広告宣伝費
・従業員・パート・アルバイト等への支払い給料
・家賃
・電気・ガス・光熱費
・通信費(電話代等)
運転資金の場合、設備資金とは異なり、「見積書」のようなものは用意しにくいので、各項目について自分で予測する金額を計算し、その内容を記載してください。
なお、個人事業の場合、法人の場合とは異なって、事業主の給料は経費として計上できません。
個人事業主の給料は、最終的な利益から支払うことになります。
したがって、個人事業主の給料については、人件費として記入できないことに注意してください。
これに対して、法人の場合は、役員給料として計上することができます。
事業の見通し欄の売上原価と経費に記載してある内容と必要な運転資金に整合性があるように記載しなければいけません。
運転資金に計上する金額ですが、3〜4か月分の売上原価と経費が融資対象となるので、それに自己資金相当額を加えた額を計上すると良いでしょう
減額の対象にされやすい運転資金としては、
・広告宣伝費
・役員報酬
・セミナー費用
です。
これらについては、なるべく計上しない方が良いでしょう。
左側の「必要な資金」と右側の「調達の方法」のそれぞれの合計は、金額が一致する必要があります。
そのため、融資の希望額ありきで記入しようしても、「必要な資金」がそれ以上になければ合計金額が一致しません。
しかし、「必要な資金」を大きくしようとしても設備資金額が過大になってはいけないですし、運転資金は3〜4か月分という制約があるため、簡単にはいきません。
融資担当官は、融資というものを、「半年〜1年で事業を軌道に乗せるために最低限必要な資金」と考えています。
そこで、金額を固める際も、この考え方に沿って決定すると良いでしょう。
具体的には、
という手順を踏むと良いでしょう。
自己資金についての補足
自己資金とは、融資申し込み時点で手元にある現金、預貯金のことをいいます。
自己資金の額については、預金通帳等の原本の掲示やその写しを提出させられるので正直に書く必要があります。
また、日本政策金融公庫の新創業融資を利用する場合、創業にかかる総経費の3分の1以上は保有していることが、実際の運用上は必須となっています。
親兄弟からもらったお金は自己資金として計上できるが、無利子であっても返済義務のあるものについては自己資金とは認められません。